ヤンゴンの季節感

 このところ、人間社会を取り巻く負の側面に焦点を当てたテーマが多かったようなので、今回は視点を人間社会から自然に移してヤンゴンをとらえてみたい。ヤンゴンは常夏の国なので、年中真夏の国と考えている人がいるかもしれない。確かに街で見かける人々の服装にはこれと言った変化は見られないし、足元も殆どの人は素足に草履のいでたちである。そして季節の変わり目が無い国だと主張する外国人に対しては、「否否ミャンマーには3つの季節がある。それはホット、ホッター、ホッテストだ。」と言わば負け惜しみ的な表現をしたりする。

 然し、1年は雨期と乾季の2シーズンからなると言うのが一般的な言い方であろう。ヤンゴンの街や公園を歩いてみると明らかに季節の変化を感じさせてくれるものが随所に見られたり聞こえたりする。つまり、日本よりは遅いが、明らかに秋が到来しているのは疑いのない事実である。例えば、水辺では多くのアキアカネが群れながら飛んでいるし、夜になると、生い茂った草むらではしきりにすだく虫の音が聞こえてくる。更に青物市場では、いつのまにかマンゴーに代わって、ミカンや柿がうず高く積まれて売られているのだ。

 柿もミカンも日本の物と比べれば、味はイマイチではあるが、秋を感じさせてくれる果物であることは疑う余地はない。虫の音も日本の鈴虫、マツムシコオロギ等のような一抹の寂しさを感じさせる情緒的な音色ではなく、やたら大きくて騒がしく、繊細さに欠ける音色ではあるが、秋の到来を告げる音色であることには間違いがない。地元の人に秋を認識して貰うべく「虫の音が聞こえてきまますね?」と誘い水を掛けたら、「ああ虫ね。」とそっけない反応が返ってきた。どうやらミャンマーの人々は、季節の微妙な変化に頓着がないと言うことかもしれない。

 花に目を転じてみると、季節によって花の種類が変化するようには思えない。まだ3か月半しか滞在していないので、変化を感じ取るレベルに達していなのかもしれない。どの花も日本で見かける花によく似ているようだが、総じて小振りで地味な花が多いように思える。そんな中、観葉植物に位置付けられるコルデリネの真っ赤な葉の群生が目に焼きつく様は、南国を思わせる。

コルデリネの絵葉書

 一方で可憐な花としては、眠り草がその代表だろうが、これは日本のものとほとんど変わりがない。

眠り草
 日本ではあまり見かけたことのない花なので、名前は定かではないが、強いて同じ仲間の花ではないかとおもわれるのがストレリチア(極楽鳥花)であるが、色や形もかなり異なっており、別の品種に分類されるのかもしれない。

 どなたかご存知の方がいればこの花の名前をご教示願いたい。

ストレリチアと思われる花の絵葉書


2014年11月16日(日)
MyanmarDRK Co., Ltd. Managing Director
宮崎 敦夫